鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「菜緒が傍にいれば、俺は心底穏やかな気持ちでいられる。朝、目覚める時、夜、眠る時、ずっと俺の傍にいてほしい。俺は一生菜緒を手離さない」
孝太郎さんが同じ気持ちでいてくれたことに、胸が熱くなってくる。
しかも、まるで将来を誓うような言葉に、心臓がドキドキと煩い。
孝太郎さんは腕の力を緩めると、私を振り向かせて正面から抱き締めた。
「孝太郎さん…」
「菜緒、ここで一緒に暮らそう」
真剣で力強くはっきりと言われると、頷いて全て受け入れてしまいたくなる。
でも同棲となると、乗り越えないといけない壁があることも確かで。
その壁もひとつではない。
孝太郎さんを見上げると、早急に唇が塞がれた。
結局私は返事が出来ないまま、そしてなにひとつ問題は解決しないまま、週明けに時間差で出社することになった。