鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
廊下からバタバタと足音が聞こえてくる。
何事かと思っていたら、いつもの怒声が営業部のフロアに響いた。
「冴木っ!」
課長は走ったのか、少し息があがっている。
しかもなぜか自分のデスクではなく、私の隣の空いているデスクに荷物を置いた。
電話中の私は受話器を耳にあてたまま、視線だけ課長に向けた。
『もしもし、真宮さん?』
「あ、はい。先程の見積書の件でしたよね?これはーーー」
隣にいる課長のことが気になって仕方ないけど、電話の相手を待たせることも出来ない。
課長は冴木主任となにやら言い合っている。
というよりも、課長が一方的に怒鳴っているみたい。
このままでは電話に集中出来ない。
「課長、冴木主任、ちょっと静かにしてもらえませんか?今電話中なんです」
受話器に手を当てて、相手にこちらの声が聞こえないように遮りながら、課長と冴木主任をチラッと見上げた。
「悪い」
「真宮さん、ごめん」
ようやく静かになって、私は電話しながら仕事を続けた。
佐野さんは隣で吹き出している。
加治田くんや他の人たちはポカーンとしながら静かに見守っている。