鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
運命の女の子って、なんだよ…。
そう言おうとして、やめた。
あながち冴木の言ってることは間違ってないのかもしれない。
俺の頭の中に、運命の女の子がパッと浮かんだ。
真宮菜緒。
営業1課の営業事務で、俺の部下だ。
初めて真宮と会ったのは、真宮が入社式を終えて、配属が営業1課に決まり、俺のところへ挨拶に来た時だった。
大抵のヤツは俺を見ると怯み、目線を合わせない。
真宮は真新しいリクルートスーツを着て、目を輝かせながら、いかにも新入社員って雰囲気が漂っていた。
ちょうどタイミング悪く、トラブル対応でイライラしていた俺の顔は、相当怖かったに違いない。
にもかかわらず、真宮は真っ直ぐ俺の目を見据えて挨拶した。
「真宮菜緒です。至らぬことが多いと思いますが、ご指導よろしくお願いいたします」
そう言ってニコッと笑った真宮に、俺は人生初の一目惚れをした。
さすがに相手は新入社員で、俺の部下だ。
手を出すワケにはいかない。
そう思って、一度は気持ちに蓋をした。
蓋をしたつもりだったが、一向に真宮のことが忘れられない。
むしろ日毎に俺の中で存在が大きくなっていた。
そんな時に冴木から「真宮さんが見合いするらしいですよ」と訊かされた。