桜樺 -ouka-
その時、橋の向こうから沖田さんが歩いてくるのが見えた。
「あれ、沖田さんじゃないですか。巡察ご苦労様です」
私と山南さんを交互に見ると、沖田さんは悲しそうで、辛そうで虚しそうな…難しい表情をしていた。
「………どうも」
それだけ言うとくるりと向きを変えて去っていってしまった。
こんなの……こんなままじゃ嫌だ…
『待ってっっ!!!!』
「鈴木さん…?!」
気付けば沖田さんをの袖を引っ張って止めていた。
一瞬驚いて、すぐに冷徹になった。
「離してよ」
『なんで?!なんでそんな態度取るの?!私何かした?!なんで……』
「っ………ごめん」