桜樺 -ouka-

大和屋放火事件




夜、私は夕餉の支度を終え、出掛けてから戻らないお父さんを探しに行った。





いつも行く大和屋だろうと、向かった先で見たのは、目を疑う光景だった。





まさか…そんな…………。





「ガハハハハハ!!!わしに逆らうからこうなるのじゃ!!」





大和屋に燃え盛る火焰。





泣き崩れる大和屋の店主。





逃げ惑う住民。





屋根の上で愉快に笑うお父さん……あれは、本当にお父さん?





私の知っているお父さんなんかじゃない…。





『せ、芹沢さん!!!やめて!!』





「瞳か。どうじゃ、いい眺めじゃろう?ここへ来ればもっと綺麗じゃよ」





『やめて……やめて!!!!!』


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