美魔女オネェに拾われたなら

「あら、やだなっちゃん可愛い顔がそのシワで台無しよ!そんなにシワ作ると、そこにシワ固定されちゃうわよ?」


そんなふうに突っ込んできたのはレンさんだ。


「え?シワって固定されるものなの?!」


思わずイチさんとの会話を飛び越えてしまったがそこは女子二人とも頷いて


「ずーっと同じところにシワがよってる顔してると癖になってそこに固定されるものなのよ!若いからって気を抜かないの!気をつなさいな!」


美容部門のマネージャーのレンさんに言われたら怖くて頷くしかない。
ブンブン首を縦に振る。


「レンさんに言われたら、もちろん気をつけるよ!」


そう言うとニコニコ笑って頭ポンポンしてくれた。
レンさんも面倒見のいいお姉さんである。


「それで何を難しい顔してたの?」


そう尋ねられ、先程のイチさんと話してた件を伝える。


「あぁ、確かにあの子ワガママで我が強いってこの業界じゃ有名よ!サチコさんの時で良かったわね。うちの下の子達じゃ押し切られてたかもしれないわ。あの子にはたまに事務所の副社長が付いてたりして、ゴリ押ししたりするから…」



頬に手を当て、フーっとため息つきつつ言われた言葉はなかなか強烈な感じをイメージさせている。


「どうするかはアカリさんと相談ね!」


イチさんがそうまとめてくれて、三人で衣装倉庫の階から事務所のある上の階に階段で移動して事務所フロアに出た所で、キーンと言うのが相応しい叫び声がした。


「なーんでわざわざ私が!足を運んでるっていうのに!話は通らないし社長にも会わせてもらえないわけ?!」


智子さんに向かって叫んでる女の人。
高い声に舌っ足らずな感じだけど、言うことはなかなかに自己中心的で強引だ。


私は嫌な予感に襲われつつイチさんとレンさんと顔を合わせた。
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