美魔女オネェに拾われたなら

事務所の中に入ると応接セットとはまた別の社員用の休憩スペースに案内してお茶を入れて戻ってきたら、由香里はあっという間にあっちゃんとさっちゃんと馴染んでいた。


誰とでも仲良く出来る。
それが由香里の凄いところだ。


「はい、由香里。あっちゃんとさっちゃんもね」


そう言ってそれぞれの前にお茶を置くと


「やったー！夏美のチャイが久しぶりに飲める！」

そう言って香りを嗅いでから飲み始めた由香里に


「あら、由香里ちゃんもなっちゃんのチャイ好きなのね！美味しいのよねぇ！」

とさっちゃん。


「あら、夏美はコーヒーもお手の物よ。何入れさせても美味しいから来客からも印象が良いのよ！」

と何故か私を自慢するあっちゃん。


「あー、コーヒーも美味しいですよね！夏美自身がコーヒー好きだから豆選びも上手いんですよ！」


なんだ、この私の話で盛り上がりを見せる空間は…。


「あの、なんでこんなに盛り上がりを見せたの？」


思わず突っ込むと


「誰がどれだけ夏美を知ってるかで自慢話が止まらなくなったのよ！」


誰が予測できたでしょう？
まさかの親友と家族みたいな二人が自分の事で知ってることの自慢大会ってで。
恥ずか死ねるわ！！


「お願いします、やめてくだしいぃ！！」

あまりの事に語尾を噛む始末。
そんな私を三人してケラケラ笑いながら見てるからタチが悪い。


まぁ、由香里がここに来る時点で、何となく予測はついていたけれども…。


でも、こんなにサクッとこの二人に馴染むなんて…。
ほんと我が親友の人垂らし力というか、適応力？馴染み力の高さが半端なかった。


はぁと、ため息をつくと。


「ごめん、ごめん！あの夏美が、ここまでこの人達に懐いてると思わなくて話が弾んじゃったわ！」


そうケラケラ笑いながら言う私の親友、栗田由香里は最近出てきた超人気絶頂の新人モデルです。