美魔女オネェに拾われたなら

由香里の正体には出会ってすぐに、あっちゃんもさっちゃんも気付いたけれど流石は業界人なので特に何も言わなかった。


「由香里ちゃん、このあとオフならご飯食べて行ったらどうかしら?」

そう言ってあっちゃんが、誘うと


「いいんですか?!ちょこちょこ夏美がアカリさんの料理が美味しいって言ってて。たまに写メまで寄越すから気になってたんですよ!」


「やだわ、夏美ったら!ご飯の写メ撮ってるのは気付いてたけど、まさか由香里ちゃんに送ってるとは思わなかったわ」


ケラケラ笑いながらの会話は続きつつも、家へ移動する事になった。

四人でがやがやとエレベーターホールに行くと


「あら、みんなお帰り?ずっるーい。私これから仕事なのにぃ」

そう言うのは、少し拗ねた顔したレンさん。


「でもレン、今日はこの後は下で指名予約のカットのみでしょ?」

「まぁね、私に掛かれば1時間とかかんないわよ」

そんな会話を聞いたので、


「ならレンも終わったら上がって来なさい。ご飯食べて帰ればいいわ」

あっちゃんが誘い、あとからレンさんも来る事になった。


どうやら、賑やかな夕飯になりそうだ。
頑張って私も何かしらやらないと!


そう意気込んで帰ったのに、なぜ私は今さっちゃんと由香里に挟まれてるんだろう?


あっちゃんに手伝うって言ったのだが、初めての場所でお友達一人にしないの!と確かな正論をもらいすごすご戻ったらこの状態…。


「由香里ちゃん、いける口かしら?」

「そこそこです!」

「つまり強いわね!」


ってお酒片手に、強さ談義始めてるあたりもはやこの二人は同類の呑兵衛である。

「さっちゃん、由香里は伝説残してるワクだからね?一緒になって飲みすぎないでね?」


そう注意すると


「えぇ!?何その話!気になるじゃないの!」

「食いつくのそこなんだね?」

思わず突っ込むと


「あの野良猫夏美が懐いてる!ましてや突っ込んでるなんて!」


キラキラ目を輝かせ始める由香里。


もう、ここ先どうなるんだろう?
一抹の不安が過ぎったのだった…
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