美魔女オネェに拾われたなら

私が向かった先、それはあっちゃんとさっちゃんの予想を裏切る場所…。

向かった先は弁護士事務所。
倉持さんの所だ。


タクシーの中で突然で申し訳ないが伺うので会えないかと伝えた。
あっちゃんにもさっちゃんにも向かう事は黙ってて欲しいと念を押して。

声も涙声になってたからか、倉持さんは二つ返事で受け入れてくれた。


タクシーで二十分。


辿り着いた倉持法律事務所は、クラシカルな雰囲気のビルの三階にあった。


「夏美ちゃん、いらっしゃい」


そう迎えてくれた倉持さんはポンポンと頭を撫でてくれて
、背中を支えて応接セットに案内してくれた。


「何があったかは、落ち着いたら話して。とりあえず飲みなさい」

そう言って差し出されたのはアイスティー。
ありがたく飲むことにする。


冷たくて美味しい。
喉が渇いていたことすら、私は忘れていたみたいだ。


喉が潤い、冷たさに助けられて何とか落ち着いてきた。

そしてそれが分かったのか、倉持さんが

「何があった?元来落ち着きのある夏美ちゃんがアカリとサチコさんの所を飛び出す何かがあったんだろう?」


そう聞かれて今日の昼の電話からの下りを話した。

全てを話し終えたあと


「あぁ、ごめん。夏美ちゃん。その原因の一因俺が作ったかも知れない。本当に申し訳ない!」

そうガバッと頭を下げられた。


「倉持さんは悪くありませんよ。でもどうしてか聞いてもいいですか?」

そう尋ねると


「実は玲司さんからの口止めの前にエドと話す機会があってね。名前こそ言わなかったがアカリの所で働き出した女の子がエドと同じ瞳の色のオッドアイで驚いたんだと話してしまったんだよ…」

そうガックリ肩を落としつつ話してくれた。

「その時にエドが電話口で少し驚いたあと、聞いたんだ。本当に同じ瞳の色だったかと。だからそうだと答えたよ。そしたら、嬉しそうな声でありがとうって言って切れたんだ」


その時の状況を、そう話してくれた。
< 56 / 95 >

この作品をシェア

pagetop