美魔女オネェに拾われたなら

そのすべてを伝えたくて、私は腕に力を込めた。


「夏美、問題が解決したらって言ったけど。夏美の中での迷いはなくなったのか?」


ぎゅっとしてすぐに抱き締め返してくれていた明さんが、少し腕を緩めて私の顔を見て聞いてくる。


「うん、無くなった。私はずっと明さんのそばに居るよ」

「ありがとう。夏美、愛してるよ」


そうして、私達は初めてのキスをした。

最初は柔らかく触れるだけ。

段々と啄んだり、食まれたりしながら途切れないキスに頭がフワフワして身体の力も抜ける。
キスの心地良さに私が、明さんに身体を支えられるようになるのにそう時間は掛からなかった。


そうしてどれくらいそうしてたのか。

そう長くはなかったのだろうけれど、とても長く感じた時間は明さんのチュッというリップ音で一旦離れる。


「情けないけど、これ以上続けると我慢出来ないから」

苦笑しながら私の髪を撫でるその手も瞳も優しい。
その手に擦り寄りながら

「ガマンしなくていいよって、言ったら?」

「バカ、大切な夏美だから、色々考えてるんだ。初めてだろう?いい思い出にしたいし、忘れられない物にしたいから。そこは俺のこだわりだから気にするな」

そう言って私のこめかみにまたキスをする。


「実はまだちょっと怖いと言うか…、そうなる自分が想像つかなくて…」

と素直に言うと

「だったらガマンしなくていいよ?とか言うな」

コツんとおでこを合わせて、視線を交わす。

「ちゃんと夏美のことを見てタイミングは俺がちゃんと掴むから、無理に背伸びしなくていい。俺はありのままの夏美を好きになって、愛してるから」


伝わる体温。
ちゃんと行動でも言葉でも表してくれる。
そんな明さんだから、私も安心して飛び込めるの。
私の事を丸っと包んでくれちゃうからね。

でも私ばっかり貰ってたらダメだよね。
同じだけ、返したいの。


「うん。私もどんな明さんでも好きよ。だってオネェのフリしてる時から好きになってたもの。だからタイミング掴んだら遠慮しないでね。私も愛してるから」


「夏美、愛してる」


そして再びキスが始まり、存分にイチャイチャしたと思う。

この日から私の部屋は明さんと一緒になった。
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