夢を売る少年
「ごめんなさい…」

「お前は…俺だけがいなくなってさ、なんで助けたんだとかって思ったかもしれない。そりゃあ、俺だって死にたくなかったよ。」

「新吾…」

「でも…目の前でお前が事故にあって、いなくなって…あの時俺が何もしなかったら今よりもっと後悔してた。何で助けなかったんだって…。」


聞いてるだけで精一杯だった。
何も言葉にならなかった。

ただ…泣いていた。


「一緒にいたかったよ…でも出来ねーじゃんっ!もぅ…出来ねーじゃん……。」


沈黙が続く。

私は何も言えなかった。

新吾も何も言わなかった。


「…恵。」

「…ん?」

「俺…恵助けられて良かったって思ってるよ。」

「…うん。」

「一緒にはいられなくなったけど、でも恵助けられて良かったって思ってる。」

「うん…。」


止まりかけていた涙がまた溢れ始める。


「だから俺と一緒に―なんて考えるなよ、そんなことされたら俺がしたこと本当に意味がなくなるだろ。」

「…うん。ごめんなさい…」

「もう、俺がいなくても大丈夫だよな?」


答えられなかった、嘘でもうんって答えなきゃいけないって分かってはいたけど、嘘でも言えなかった。
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