この世界は7で終わる
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お借りした寝室を出ても、そこにヤコフさんはいなかった。
リアカーを押す手を止めてルカを見る。彼も分かっているようだった。だから「そんな顔するな、」と覇気のない声で言うだけ。
ーーー・・この家は暖かさを残したまま時間を止めた。
「アトリ、テーブルの上」
ルカが何かに気付いた。私もそれに促され向けば、窓から差し込む陽光にキラリと光った。近寄ってみれば折りたたまれた紙と、二つのリング。
「……指輪?」
ルカが発したそれに頷く。そしてどうやら紙には文字がつらつらと羅列していて。これが手紙だと理解するのに時間はかからなかった。
それと同時に察した。
なんて人だ。どうして。
「アトリ」
「……ルカ、わたし」
「良かったよな、ここに来れて」
「…うん」
指も唇も、少しだけ震えた。