この世界は7で終わる
_388年12月23日
変わりなく空も空気も、大地も澄んでいた。
気温は相変わらずの氷点下前後。
歩く道の脇にも緑が増えてきている。そして見慣れない人工物の残骸も風景と化している。歩道されていた道はもう砂利道だ。もう少し行けば道なき道になるのだろう。
だからどうした、と白い息が宙に浮かぶ。
「なぁ、アトリ」
「なにルカ」
「……どこまで行くんだ」
「どこまでもだよ」
歩き疲れたのに、歩き足りない。ルカを引く手の平は豆が幾つも出来ていた。それでも足りない。まだ先へ行けると暗示のように自分に言い聞かせる。
ふと、磯の香りがした。歩みが自然と止まって「ルカ!」と名前を呼んだ。
「海だよルカ」
「……海?」
「そうだよ。ずっと見たいって言ってたじゃん」
「…ああ、そうか、俺は海が見たいんだったな」
リアカーの箱部分に収まったままのルカは思い出すように口にする。まるで忘れていたことを頭の引き出しから必死に見つけ出すみたいに。