神様の隣で、君が笑った。
 




「おい、月嶋ぁ! これは一体、どうなってる!」


曇り空は、まもなく周囲に雨をもたらす。

傘を持たない私はただ、その冷たい雨に打たれるだけだ。


「先週、クラス全員分の課題用プリント、配っておくように言ったよな!? 俺は確かにお前に渡した。それなのに忘れてたって、一体全体どういうことだ!」


苦手な数学の授業前、私は担当の先生に教卓の前に呼ばれて、クラス全員の前で糾弾された。

先生の言うプリントとは、先週私が先生に呼び出され、クラス全員に配るように言い付けられたものだ。

それなのに私は授業が始まったあとで、先生にそのことを言われるまでスッカリ、プリントの存在ごと忘れてしまっていた。


「今日の授業前に課題を回収するとも、お前に言ってあったよな? これじゃあ、今日の授業が全く進められないだろう。本当に、どうするつもりだ。お前のせいで、授業が遅れるんだぞ!」


耳が痛くなるような怒鳴り声を響かせた先生は、力いっぱい教卓を叩いた。

反射的に肩がビクリと飛び跳ねる。

背後では声を殺したクラスメイトたちが、ひっそりと事の成り行きを見守っていた。

 
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