神様の隣で、君が笑った。
 

「……わっ!」


そのとき、風に吹かれたカーテンが、突然大きく揺らめいた。

思わず目を閉じてしまった俺の思考と風に攫われた手紙が、懐かしいあの日々へと飛んでいく。




──君に、伝えたかった言葉がある。

伝えられなかった……言葉がある。

降り注ぐ陽の光はあの頃と少しも変わらないのに、今、君だけがここにいない。

この場所が好きだと言った君だけが、今はここにいないから──。


 
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