腹黒王太子の華麗なる策略
クリスは優しい目で私を注意すると、優雅な仕草でゆっくりと起き上がった。

クリスことクリストファーは、インヴァネス王国の王太子。

長駆で日の光のように眩く長い金髪に、深海の青のような綺麗な瞳。

端整な顔立ちをしていて、いつも口元に笑みをたたえている。

世界でも超絶美形の王太子として知られていて、その瞳の色にちなんで『サファイアの君』と呼ばれることもしばしば。

御歳十八歳の彼は、物腰が柔らかく、いつも穏やかで、世の女性の憧れの王子さま。

頭脳明晰で、今病で臥せっている国王の政務を代行している。

身体は丈夫ではないし、剣術も苦手らしいけど、クリスはその怜悧な頭脳で異国の侵攻を防ぎ、国の危機を何度も救ってきた。

かく言う私……アンは、クリスの乳兄妹で、彼の侍女をしている。

腰まである黒髪に、アメジストの瞳。

目がクリンとしているせいか、実際の年齢よりも幼く見られる。歳はクリスと同じ十八歳。
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