腹黒王太子の華麗なる策略
本当はもっとアンをからかって楽しみたかったが、今日は時間がない。

用意した朝食を指差してアンに教える。

「ほら、アンの好きなシチューもあるし、焼き立てのパンもある」

「わあ、美味しそう。これはどこから持ってきたの?」

「ディオンの部屋だ。あいつはいつも二人分食べるからな」

俺の言葉に、アンは少し気まずそうな顔をする。

「……ディオン、朝食が突然消えてビックリしてるんじゃない?」

「きっとまだ夢の中だろう」

俺が平然とした顔で言うと、アンは俺を目を合わせクスッと笑った。

「確かにそうかも」

それから食事を済ませると、洞窟を出た。

「凄く、良いお天気。小鳥も鳴いてて気持ちがいい」

アンは両手を伸ばして大きく深呼吸する。
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