ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンは缶ビールを飲んでいる。
飲み干した空き缶が二つ転がっているから、もうこれで三本目だ。
「ミンジュンさん…? 何かあったんですか?」
詠美がミンジュンの隣に座ると、ミンジュンは缶ビールを持ったまま詠美を抱きしめた。
「今日、スタッフを二人解雇した。
俺の会社なんだから、俺が決める事に誰も文句は言わせない」
詠美は胸が痛んだ。
今回はミンジュンは何に腹を立てたのだろう…?
「ジノさんは…?」
「俺にはジノさえいればいいと思ってるのに、あいつはもう俺の面倒は見切れないだってさ」
詠美は無意識にミンジュンをきつく抱きしめた。
この人は何か大きな傷を心に負っているのかもしれないと、ふとそんな風に思ったから。
「ミンジュンさんは、どうして他人にそんなに厳しいんですか…?」
ミンジュンはまだ詠美の胸の中に顔をうずめたままだ。
何だか心がふわっと軽くなっていくのが分かる。
「他人に厳しいんじゃなくて、信用してない。
鼻っから信用してない人間が、ミスをしたらもうダメだろ?」
「人間ってミスをする生き物なのに…」
詠美はミンジュンの髪を撫でる。
「そんなの分かってるよ。
でも、小さい時から、身に付いた癖はもう直しようがないんだ」