【BL】好きになってよ。
ただ、「まだ落ち着いていないから、もう少しだけ待って」と。そう言えば良かったのに。
やってしまったと、思った。
その気持ちは、その言葉を口にしてから呼吸するたびにどんどん大きくなった。
気管が締め付けられたみたいに呼吸がしにくくて。
しんちゃんが自分から離れていくのだと感じた。
当然だ。当たり前のことじゃないか。
でも、しんちゃんが自分から離れていかないことを心のどこかで信じている自分がいて。
それを確信にしたくて腕をつかもうとした。
バシッ
僕にだけ聞こえたその音は、僕の中で強く強く響いた。
「大嫌いだよ。」
そう呟いたしんちゃんは、くるりと僕に背を向けてスタスタと戻ってしまった。
僕は...、僕はなんて嫌な奴なんだろう。
どうしてあの時、しんちゃんを裏切るようなことしちゃったんだろう。
しんちゃんは正面から僕と向き合おうとしてくれたのに。
「うっ、」
「山内君!?」
僕はしんちゃんの後ろ姿を見ながら涙を流していた。
ごめんね、ごめんねしんちゃん。
僕は泣いちゃいけないのに。
どうしたって止まらないんだ。
あんなことして、しんちゃんに嫌われて当然だってわかってるのに。
僕は、しんちゃんが離れてしまうことがこんなにも悲しい。