先輩から逃げる方法を探しています。
その人物は先輩ではなく、ゲーセンの前で会って先輩と話していた人だった。
「レンレン」って先輩は呼んでいたっけ。
「あ!?急になんだおまっ…え……」
2人は倒れ込んだ仲間からレンレンさんの方へと顔を向けた途端に目を見開き、一歩一歩後退る。
「さぁてと。3対1で俺が相手するぜ?」
その言葉に3人揃ってビクリと肩を上げ、逃げ出そうとしたのか此方に背中を向けた時、3人組の前にまた1人現れた。
この場の人達とは違って爽やかな笑顔。
不良らしさなんてものはなく、どちらかというと優等生のほうが似合う。
「いやいや間違ってるよ蓮。4対1だよ」
「はぁ?4対1?」
「俺とここにいる腰抜け3人対蓮1人ね」
「ちょ、なんでお前がそっち側なんだよ!おかしいだろ!」
「文句あるの?しょうがないな。じゃ、3対1対1対にする?」
「どっちにしろさすがにお前には勝てねぇよ」
「岸本蓮が…勝て…ない……?」
3人組は交互にレンレンさんともう1人の人物を見る。
話を聞いている限り岸本蓮っていうのはレンレンさんのこと?
ということはさっき言っていた「あいつ」っていうのは先輩のこと…だよね。
「じょ、冗談じゃないぜ…」
「俺らは関係ねぇ…!」
「勝手に2人でやってろっ!」
3人は慌ててすぐさまその場を去って行った。
そんな3人の後ろ姿を見送った後、笑顔のまま此方へとまた顔を向けた。
「あーあ。逃げちゃった。ってことで俺対蓮の1対1ね」
「なんでまだ続いてるんだよ!?」
「だって…ん。海人から電話だ。もしもし?」
溜め息を吐くと、電話を始めた人から私へと目線を移す。
「大丈夫だったか?」
「あっ…はい。助けていただきありがとうございます」
「おー。つーか、なんでこんなとこに1人でいるんだよ?はるはどうした?」
「それが先輩とはぐれてしまって…」
「蓮ー。溜まり場行くよ。なんか一華の元カレが怪我して気を失ってたから運んだって」
「一華の元カレ?あいつ男いすぎてどれが元カレかわかんねぇよ」
「怪我をして気を失っている」という言葉を聞き、3人組の内の1人が言っていたことを思い出した。
「俺らボコボコにしちゃって悪い事したなー」と。
レンレンさんが岸本蓮で「あいつ」が先輩のことだとしたら…まさか……。
「あの!私もそこに連れて行ってください!お願いします!」
「え?あ、あぁ…俺は別にいいけど。伊織は?」
「俺も問題ないよ。っていうか急にどうしたの?血相変えて」
「さぁ…。俺もさっぱりわからん」