先輩から逃げる方法を探しています。


翼ちゃんはまだ諦めずに言葉を重ねる。


「どうしてですか?とーっても良いご褒美ですよ」

「だってそのご褒美が俺にとってほんとに良いものなのかわかんないじゃーん」

「うっ………気にならないんですか?とーってもいいご褒美」

「全然。興味ないね~」


これ以上攻める言葉がなくなってしまったのか、髪をくるくると人差し指で巻きだす。

困ったり、戸惑ったり、考えている時の仕草。

翼ちゃんは真面目だからきっとしゅがーちゃんに頼まれて引き受けた以上、絶対に俺を体育祭に出させたいんだろうな…。


「翼ちゃんがそーんなに出てほしいなら出てあげてもいいよ」

「本当ですか!?約束ですよ。絶対に出てくださいね」

「はいはい」


本当は出たくないけど。

教室より居心地が悪くなることは確実。

だけど、いつも構ってくれる翼ちゃんのためにちょっとしたお礼だ。

翼ちゃんのいうとーっても良いご褒美とやらを期待して頑張るか。

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