先輩から逃げる方法を探しています。


はやくも体育祭当日。

翼ちゃんと話をした後、リレーの入場口へと並びに行った。

やはり居心地が悪い。色んなところからの目線が痛い。

更に問題なのは俺のリレーの順番だ。

昨日、しゅがーちゃんから連絡があり、知らされた。


『松木くんが出てくれるって伊坂さんから聞いたわ。先生嬉しい!』

「俺はしゅがーちゃんを恨みたいよ。…それで?俺の順番はいつなの?」

『松木くんの順番は…たらららららららーっ』

「そういうのいいから早く教えて」

『折角盛り上げてたのにーっ。アンカーよ。しゅっやっくっ♪』

「は?」


聞き間違いであって欲しい。

ただでさえ出るだけで目立つというのにアンカーという重荷。


「ねぇ、ふざけてんの?」

『うちのクラスじゃ松木くんが一番速いんだからぴったりじゃない♪』

「だからって普通俺をアンカーにするかなぁ…」

『もーしょうがないでしょ。誰もアンカーをやりたがらなかったんだし…来ていない松木くんが悪いわよ』


…まぁ、それはごもっともだ。

正直、これを聞いて行きたくない気持ちが高まってしまったが、翼ちゃんとの約束を破るわけにはいかなかった。

隣…といっても俺の周りには不自然な程の距離があるが。

右隣の女の子は先程からちらちらと何度も見てくる。

多分、俺にバトンを渡す子だ。

見た感じ気弱そうだし、大方皆が嫌がった俺の前を走ることをやらされたってところか。


「よろしくねぇ」

「っ……」


愛想よく笑って挨拶をしたつもりだったが、逆効果だったみたいだ。

一応クラスメイトだというのにやりづらい。

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