日だまりの雨


「あんな顔、するくらいなら同意しなきゃいいのに……」




ミルクティ片手に、少し憂いを帯びた顔つきの弥生が小さく呟いた。




その隣で何も言えずにオレンジジュースを口に含んだ。




「で……。あの後、どこに行ってたの?」




何も言わずに教室を飛び出したわたしが次に現れたのは、六限目。




少し赤みの残る瞳のわたしに心配した弥生がこうして、わざわざ放課後のカフェに付き合ってくれているのだ。




弥生の問いかけにちょっとばかし口ごもってしまう。




怪訝そうにわたしを見据える弥生に、ゆっくり視線を合わせ、




「あ、雨音の……とこ」




躊躇いがちに答えたわたしに、弥生はますます怪訝そうに眉を顰めた。





「……日咲、やっぱり好きなんじゃない?」



「ちがっ…………わない」




慌てて肯定する姿に、弥生は満足そうに唇の端を上げてミルクティに口を付けた。




その反応が恥ずかしい反面、騙した相手を好きになってる自分の厚かましさが腹立たしくも思う。






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