契約書は婚姻届
きっと、私の気のせい。
わざわざそんな、嘘をつく必要もないし。
朋香は感じた不安を、あたまを振って追い出した。


 
……明日の会議の茶菓子は、レモンケーキでもいいかな。
私も食べたいし。

そんなことを朋香が考えていると、ドタドタと騒がしい足音ともに、バン! と破壊も辞さない勢いでドアが開いた。

「社長!」

大慌てで入ってくる西井に既視感。
ほんの一週間ほど前にもこんなことがあった気がする。

「オシベから契約打ち切りって通告が!」

「だからー、川澄部長がそんなことはないってこのあいだ……。
は?
通告?」

糸目で普段、開いてるんだか開いてないんだかわからないと云われる目を珍しく人並み以上に見開いた明夫の目の前に、西井は一枚の紙を差し出した。
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