契約書は婚姻届
思わず、俯いていた顔を上げる。

朋香、名前呼び。
そして、照れている雪也の顔。

「しかも、こんなことで泣いてる朋香とか、めちゃくちゃ可愛くてますます好きになった」

なにを云われてるのかあたまがついていかない。

これは、告白されているということですか?

「えっと。
朋香さえよければ、朋香のファーストキスのやり直し、俺としない?」

ぽりぽりと鼻のあたまをかきながらそんなことを云ってくる雪也がおかしくて、つい、朋香は頷いてしまった。

 
それから、合宿所を抜け出して星降る浜辺、思いっきりロマンチックにキスをして、そのまま付き合い始めた。

初体験のときももちろん、目一杯いい雰囲気にして朋香を気遣ってくれたし、誕生日や諸々のイベントごとを雪也は欠かさない。

別段不満もなく、充実していた。
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