契約書は婚姻届
朋香は知らなかったが、奏林大の小木といえば、日本では人工心臓研究の第一人者で、ペースメーカーの部品を作っている明夫たちももちろん知っていた。

「是非、若園製作所さんにも協力していただきたい」

「それは光栄ですが……」

それだけ技術を買ってくれていることは嬉しいが、開発にはそれだけ金がかかる。
二つ返事で、とはいかない。

「もちろん、こちらからも援助はさせていただきます」

「ありがたい話ですが……」

明夫たちが信じられないのも無理はない。
契約打ち切りの話できたはずが、契約は続行、そのうえ融資の話となると。

「ただし、一つだけ条件があります」

「条件、ですか」

若干浮つきだしていた明夫たちだが、押部社長の表情が急に変わり、姿勢を正す。
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