契約書は婚姻届
こんなうまい話が早々あるはずがない。
やはり、なにか無理なことを云ってくるに違いない。

「そこの秘書の方、社長のお嬢さんを私にください」

「は?」

「は?」

「は?」

「え?」

朋香からは見えないが、同じ一音だけを仲良く発し、固まっている男三人はきっと、間抜けな顔をしているに違いない。

朋香自身、なにを云われたのか理解できない。

ただひとり、押部は嬉しくてたまらないのか、にこにこと笑っている。

「ですから。
お嬢さんと私の結婚が条件です」

……契約続行が私との結婚ってなに?

いまだに固まってる三人を無視して押部がさらに続ける。
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