契約書は婚姻届
「女を道具としか思ってないんですか!」
すごい剣幕の女性陣に怯え、涙すら浮かべかねない様子の明夫に、はぁーっ、朋香は大きなため息をついた。
「あー、みなさん落ち着いて……」
「なんで朋香さんはそんなに落ち着いてるんですか!?」
今度は朋香が睨まれて身が竦む思いがしたが、自分の考えを落ち着いて口にする。
「一応、有森さんは反対してくれたんです」
「ならなんで」
確かに、なら、だろう。
こんなめちゃくちゃな条件、飲む必要はない。
「私が押部社長と結婚さえすれば、契約はそのまま、それどころか新製品の開発要請と融資までついてくるんですよ?
こんなにいいことはないじゃないですか」
「でも、朋香ちゃんが犠牲になることじゃない。
いまからでも遅くない、白紙撤回すれば」
頼りにならない父とは違い、有森が朋香を気遣ってくれる。
工場のみんなだって。
すごい剣幕の女性陣に怯え、涙すら浮かべかねない様子の明夫に、はぁーっ、朋香は大きなため息をついた。
「あー、みなさん落ち着いて……」
「なんで朋香さんはそんなに落ち着いてるんですか!?」
今度は朋香が睨まれて身が竦む思いがしたが、自分の考えを落ち着いて口にする。
「一応、有森さんは反対してくれたんです」
「ならなんで」
確かに、なら、だろう。
こんなめちゃくちゃな条件、飲む必要はない。
「私が押部社長と結婚さえすれば、契約はそのまま、それどころか新製品の開発要請と融資までついてくるんですよ?
こんなにいいことはないじゃないですか」
「でも、朋香ちゃんが犠牲になることじゃない。
いまからでも遅くない、白紙撤回すれば」
頼りにならない父とは違い、有森が朋香を気遣ってくれる。
工場のみんなだって。