契約書は婚姻届
すべてが自分のせいだと背負い込み、尚一郎と別れた万理奈は衰弱していく。
父親はそんな娘の姿に心を痛め、さらには再三の娘を差し出せとの達之助からの要求に精神を病み、……ついに。

娘を道連れに、焼身自殺を図る。

 
その当時、崇之と万理奈、そして母親は、母親の実家に身を寄せていた。

その日、崇之がアルバイト先から帰ると万理奈がいない。
尋ねると、父親が迎えにきたのだという。
 
悪い予感しかしない崇之は急ぎ、家に向かう。

そこで崇之が見たのは庭から立ち上る煙。

慌てて庭に行くと、なんともいえないにおいが立ちこめていた。

「万理奈!?」

ぺたりと座り込み、うつろな目をした万理奈は全身にやけどを負っていた。
そして、その視線の先にあるのは、かつて父親だったとおぼしき物体。
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