契約書は婚姻届
顔から火が出そうなほど恥ずかしい朋香に、男が中に戻るように促すので、素直に従った。

すぐにドアがノックされ、衣装盆を捧げ持った朋香と同じ年くらいのメイドが入ってくる。

メイドに、半ば無理矢理、鏡の前に座らされた。
そのまま無言で髪にブラシを当てられる。

「旦那様はすでにお出かけになりました。
朋香様には本日、ゆっくりしていただくようにとのことです」

男が話しているあいだも、メイドは朋香の髪を整え、肌も化粧水や乳液をつけて整えていく。

「身支度がお済みになりましたら、食堂へ。
お食事の準備をしておきます」

「……はい」

男は眉一つ動かさないまま、部屋を出て行った。
男がいなくなると、化粧をすませたメイドが朋香の服を脱がせてくる。

「ひとりでできますので!」

「でも、これが私の仕事ですから」
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