契約書は婚姻届
「……そう、ですか」

ずずっ、啜った、クリームたっぷりの甘いドリンクがなぜか苦く感じた。

「朋香はやっぱり、尚一郎が嫌いになったわよね」

「それは……」

確かに一度は、裏切られたと絶望もした。
けれど落ち着いてから考えると、あの幸せそうな顔が、あの淋しそうな顔が、演技だとは思えない。
きっと尚一郎にはなにか事情があったのだと思いながらも、話してくれないことが淋しくて悲しかった。

「私は尚一郎さんを信じたい……です」

「よかった」

嬉しそうに笑う侑岐に、自分は尚一郎を信じていていいのだと自信が持てた。


帰りの車の中で、侑岐は昔の尚一郎の話をしてくれた。

「万理奈があんな風になってから、私が尚一郎の恋人のフリをしていた話はしたわよね」
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