契約書は婚姻届
「こんなことを朋香さんに頼むのは間違っているとわかっています。
でも。
……どうか尚一郎を、救ってやって欲しい」

犬飼にあたまを下げられるとどうしていいのかわからなかった。

自分は短い間に、尚一郎からたくさんたくさん、愛情を注いでもらった。

あの時間はかけがいのないほど幸せな時間で、……きっと、尚一郎にとってもそうだったのだ。

終わりがくることがわかっていながら、それでも自分を真剣に愛してくれた尚一郎に、今度は自分が応えるべきなのだ。
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