【長編】戦(イクサ)林羅山篇
織田信長以前の戦い方
 国分での豊臣勢の敗色が濃く
なった頃、ようやく毛利勝永の部
隊が到着し、続いて真田幸村の部
隊が到着した。
 幸村は残っている豊臣勢の救出
に向かい、伊達政宗の部隊から出
て来た片倉重長の鉄砲隊が銃撃し
た。これに幸村の部隊も応戦し重
長の鉄砲隊を退けた。
 この頃、河内から大坂城に向
かっていた家康のいる本隊は濃霧
の中から突如現れた豊臣勢の長宗
我部盛親、木村重成、増田盛次の
部隊と遭遇した。
 すぐさま徳川勢の中から藤堂高
虎の部隊が迎撃に向かい、霧の中
での混戦が続いた。
 一時は高虎の部隊が劣勢になっ
たが、徳川勢の井伊直孝の部隊が
援軍に駆けつけて重成が討ち死に
するなど豊臣勢のほうが劣勢とな
り、盛親らはやむなく大坂城に引
き返した。
 盛親らの撤退の知らせを聞いた
幸村、勝永はこちらも撤退するこ
とを決め、勝永の部隊が徳川勢を
引きつけている間に幸村は残って
いた豊臣勢を大坂城に撤退させ
た。
 これらの戦いで双方に多数の損
失があったが、どちらも最終決戦
と覚悟を決めて正面からぶつかり
合うことを望んでいるようだっ
た。
 家康は武士の戦い方にこだわ
り、織田信長以前の戦い方に逆戻
りさせていた。それに気づいたの
は稲葉正成だった。
< 106 / 259 >

この作品をシェア

pagetop