大剣のエーテル

*船上のキス


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「ノア。準備は出来たか?」


時は経ち、一派のアジト襲撃事件から1ヶ月後。

私は、国の中心部にある城下町にいた。

窓の外に見えるのは、この国の王が住まう荘厳な城。

エーテルの宿舎にちゃっかりと居座っている私の部屋をノックして声をかけたのは、イヴァンさんである。


「はーい、今行く…!」


返事をして、鏡に映る自分を見た。

ドレスアップをした自分の姿は、どうも見慣れない。


(…変かな…?なんか落ち着かないなあ)


そわそわしながら部屋を出て、赤い絨毯が敷かれた廊下を小走りする。

ガチャ、と宿舎の玄関から外に出ると、そこにいたのは3人の団員たちだった。


(…わ、かっこいい……)


旅に出ていた時とは違い、白い軍服に袖を通す彼らは、立っているだけでも様になる。

もちろん、元々整った顔立ちをしているせいでもあるが。


「やっぱり、みんなも正装なんだね。」


私の問いに、小さく目を細めたイヴァンさんが答えた。


「あぁ。王が主催の“祝賀パーティー”だからな。俺はいつもの黒スーツで出てもいいんだが。」


そう。

今日は、“一派のアジト崩壊”を祝したパーティーなのだ。

離島の事件から、一派の幹部たちは影を潜め、目立った動きを見せなくなった。

原動力としていた幻夢石をすべてロルフに溶かされたのだから無理もない。

一派を完全に殲滅できたわけではないが、景気付けも兼ねて、王がパーティーを開く提案をしたらしい。

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