この愛、スイーツ以上
忘れていたが、この人はこうやって食べさせるのを当然のようにする人だった。

またもや周りの視線が痛い。でも、ここで押し問答はしたくないので、素直に口を開けた。


「美味しい」


モンブランとアイスがよく合っている。今度モンブランを食べるときはバニラアイスを用意しようと考えてしまうほど、美味しかった。


「でしょ? 組み合わせが絶妙だよね。由梨のもちょうだい」


私も同じようにカットして、よい感じに一口サイズを作ったが、ここでどうしようかと手が止まる。

食べさせてもらうことはあっても食べさせてあげたことはない。副社長はどうやって食べるつもりでいるのだろう。

プレートを近付けてフォークごと渡したらいいかな。

「どうぞ」とフォークを副社長の方に向けたが、私はフォークを落としそうになってしまった。

なぜなら、彼は口を開けたからだ。

そこに入れろと?

いつまでも口を開けたままにさせておけない。気を取り直して口の中に入れてあげた。

食べさせてもらうのも恥ずかしいけど、食べさせてあげるのも恥ずかしい。まさか口を開けるとは思わなかったし。
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