この愛、スイーツ以上
「何の話をしていたの?」

「秘密さ。さてと、俺はこの後用事があるから帰るよ」


虎太さんは自分の腕時計で時間を確認して、立ち上がる。せっかく副社長が戻ってきたのだが、用事があるなら仕方がない。


「チョコ、ありがとう」

「うん。吉川さん、涼太をよろしくね。ちょっと変わったとこがあるけど、悪いヤツじゃないから」

「はあ……」


よろしくと頼まれても困るから、歯切れの悪い返事しか出来なかった。

涼太さんが出てから、まずチョコの入っている箱に蓋をしようとするが、副社長に手首を掴まれた。

何事かと彼の顔を見ると、彼は立ち上がってから私を引き寄せる。

えっ?

なぜ今、抱き締められている?


「あー、やっぱりだ」

「な、なにがでしょうか?」


こっちは動揺しているというのに、副社長は脱力したような声を出す。


「由梨をこうやって腕の中におさめると心が落ち着くし、癒される。いつでもこう出来るよう俺のそばから離れないでね」
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