俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
大河の好きな鶏肉をソテーして、ソースはさっぱりオニオン仕立て、隠し味にオレンジジャム。
それから、野菜がたくさん採れるよう、具沢山のポトフ。これなら母から教わった料理だから、嫉妬のしようもないだろう。
女友達に教えてもらった、ちょっとおしゃれなアボガドサラダも添えて。

頭の中で調理の段取りを組んで、タイムテーブルを作る。
お肉に下味をつけて、野菜を切って、煮込んでいる間にサラダの盛り付けと洗い物、お肉を焼きながらとスープの味付け――

最大限効率的にこなしたはずなのに、料理に慣れていない私だから、作るのに一時間半もかかってしまった。
とはいえ、充分立派に見えるものがテーブルの上に並び、大河からも「これから帰る」というメッセージが届いた。

喜んでくれるか少しだけドキドキしながら帰りを待っていると。

ピンポン、と玄関のチャイムが鳴ったので、急いでキッチンを飛び出した。
大河ならわざわざチャイムを鳴らさないだろう。だとしたら……誰?

案の定、ドアホンのカメラに映っていたのは大河ではなかった。
よく知った女性の姿に思わず「あっ」と声を漏らす。

――恭子さん……?

あの綺麗な黒髪と知的なスーツ姿がモニターに映っていて、思わずごくっと喉が鳴った。
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