俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「なんだよ痛いな。本当のことだろ」

「私、そこまで太ってない! ……そりゃあちょっとくらいは体重が増えたかもしれないけど」

「別に太って悪いなんて言ってないだろ。俺は今くらいの方が柔らかくて好き――」

「ば、ばか!!!」

褒めたのに、もう一度ノートで引っ叩かれた。なぜだ。

「思い出はプライスレスなの!」

そう俺を叱って、一向に終わらない大掃除はまだまだ続く。
めんどうだ。いっそ全部捨ててしまいたい。必要なものなら、すべて俺が用意してやるのに。

あまりの退屈さに、気づけばなにかおもしろいものはないかと辺りを探していた。
テニス部だった頃のジャージとラケット――これもどうせ思い出がとか言うのだろう。
本の山――これは教科書か? こんなもん捨てていいだろう。ていうか捨てるぞ。

彼女の許可を省略して高校の教科書を紐で括りながら、ぼんやりと呟いた。

「……元彼との思い出の品とか、ないのか?」

「あるわけないじゃない。そんなの取っておいたら、相手のためにも私のためにもならないでしょ」

「その辺、ドライなんだな」

学生時代の思い出は捨てられないのに、男との思い出は捨てるのか。だから女は怖い。
自分の家のクローゼットを思い出しながら、もしも元カノとのなにかが残っていたら、莉依にバレる前にこっそり捨てようと決意した。
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