俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
私を気使ってフォローしてくれているのだろうか? 建前――ではなさそうだ。
真摯な瞳から、その言葉に嘘偽りのないことが伝わってくる。

「だから、お前は気にしなくていい。俺があげたもんを堂々と受け取ってればいいんだよ」

そう言うと、私の額をピンと指で弾く。狼狽える私を残して立ち上がり、キッチンに戻っていった。

「――それから、なんか誤解してるみたいだけど」

ふと大河はキッチンに入る直前、私の方を振り返り、むすっとしながら言い放った。

「見損なうなよ。俺はその気のないヤツと軽々しくキスなんかしないからな」

……それはもしかして、昨日私が言ったことを気にしているのだろうか。

――誰とでもキスしようとする人だと思わなかった――

それが違うのだとしたら。
じゃあ、私とだったら、キスしてもよかったってこと?

「ねぇ……それって、どういう――」

「知らねぇよ。そのくらい自分で考えろ」

プイっと私に顔を背けて、大河はキッチンで朝食を作り始める。
サラダ用のレタスを数枚、手際よくむいて、さっと水で流して洗っている。

「で、でも……」

「いい加減わかれよ、この鈍感」

「ど、どん――」

言い返そうとしたけれど、ワンテンポ遅れてその言葉にハッとさせられた。
ひょっとしたら……もしかして――。

大河が今まで私にしてきた紛らわしい行動――。

私のこと、好きでいてくれてる……?

ジュウゥゥ、とフライパンの上で熱の踊る音が聞こえ始めた。
おそらくベーコンエッグをふたつ焼いているのだろう。香ばしい香りが漂ってくる。
料理をするそのうしろ姿を眺めながら、私はどうしようもなく鼓動を高鳴らせていた。
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