俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
ホテルの最上階の高級レストランで。
優雅なピアノの旋律に彩られながら、テーブルの上にはコース料理、横には夜景、目の前にはいつもと違う紳士な大河。
落ち着かないっ……!
このエグゼクティブな状況を素直に楽しめればよかったのだけれど、残念ながら庶民の私には荷が重すぎた。
手が震えてナイフとフォークがうまく動かない。
メインディッシュの上質なお肉がお皿の上でコロコロと転がった。
ぷっ。
目の前の大河がとうとう吹き出して、手の甲で口もとを抑えながら、ぷるぷると肩を震わせる。
「そんなに緊張されると、俺もどうしたらいいか……」
「し、仕方ないじゃない! こんな場所きたの初めてだったんだから!」
「そんなに珍しいシチュエーションでもないだろ。ほら、同級生の山本の結婚式も、こんな感じだったし」
「そういう問題じゃなくて……」
私はカチャっとナイフをお皿にのせて、そっと目を逸らした。
「……大河が、いつもと違うから……」
確かに、今の大河は恰好良い。セレブ感満載だし、こんな高級なお店に連れてこられて紳士的なエスコート、百人中九十九人の女性は口説き落とされてしまうだろう。
それなのに、どうして私は残りの一人になってしまったのか――理由は単純明快で、私の大好きな人は、ひまわりのような笑顔を浮かべる、無邪気な男の子だったからだ。
お金なんかなくてもいい。いつもの大河でいてくれたら――そう思ってしまう私はとんでもない贅沢者かもしれない。
「私、お金持ちが好きってわけじゃないんだよ……?」
私の言葉に目を丸くして、言葉を失う大河。