白い虎と蝶 ~絆~
ここはかなめにとっては敵がいっぱいいるところのはず。
「あ、ありがと……もう、大丈夫」
「……」
やっぱり大丈夫だと言っても離れてくれない。
「かなめ?大丈夫、だから」
改めて大丈夫って言うとさらに腕に力を込めて、片手で頭をぽんぽん。
離さないとでも言いたげにかなめの腕はビクともしなかった。
「…………」
大丈夫だと言っても離してくれそうにない。
それに離れようとしても私の力だけじゃ解けないから、かなめが離してくれるのを待つことにした。
季節は夏で暑いはずなのに、かなめに包まれてても暑いと感じることはなかった。
むしろこのまま、なんて思った。
魁さん以外の人に触れられて安心するなんて、私どうかしてる。
この温もりも、私の頭を撫でるこの手も、この喋り方も、この笑い方も。
なにもかも、魁さんとは違うのに。
似てなんかないのに。
魁さん……。
「なんかあったのか?」
「え?」
「自分の手、見てみろよ」