白い虎と蝶 ~絆~
「私、朱雀と話したのって学校に行く時の護衛になった時だけど……」
「それがあいつは気に食わなかったんだ。俺と会ってるはずなのに、俺のことを覚えてない。
俺のことを知ってる奴らばっかりの中でまなちゃんは俺を知らない。
女はみんな何もしなくても俺によってくるのに、まなちゃんだけはそれをしない。俺を見て欲しい。俺を見ろ。ってね。
だから、黒狼のメンバーに襲わせて弱ったところを漬け込んで自分のものにしようとした」
「そ、んな、くだらない理由のためだけに私はあの日……」
「あの日、目が覚めた時、誰もいなかっただろ?
それはあいつがあとから来る予定だったからなんだ。あいつが1人でボロボロに弱ってるまなちゃんに手を差し伸べる。
そうすれば、まなちゃんはその手を取って俺のモノになるって思った。でも、それはできなかった。それよりも先に俺らがきたから。
朱雀が先に来てようとまなちゃんだったら話さなかっただろうし、むしろ怯えてただろうね。人一倍見破ることできるし」
「そう、だったんだ。でも、あの日の私なら分からない。もしかしたら、朱雀の手を………」
そう考えるだけで、鳥肌が立った。
それを見た隆さんは「大丈夫。そしたら、俺らがまなちゃんを攫ってくよ」なんてサラッと言いながら私の頭を撫でた。
「あいつはまなちゃんにまた同じこと、してくるかもしれないよ?それでも朱雀を潰せる?」