目の覚めるような赤だった
「ずるい。ひどい。こんなのない。馬鹿、迅の馬鹿」
「おいおい、マナカ~」
「大好き。もうどこにも行かないで」

迅の腕が伸びた。それからゆっくりとその腕が私を抱き寄せる。
迅の腕の中に閉じこめられ、私は声を上げて泣いた。学校の校庭で、信じられない再会を果たし泣いた。

「トシさんと勘太郎に会いに行こう。元気にしてるだろ?」
「うん、元気だよ。……ふたりで行こう」

涙で滲んだ視界に迅の顔を映す。子どものように無邪気に笑う私の大事な人。
二度失い、この人のいない世界を生きる覚悟を決めた。
こんな不意打ち、本当にひどい。
そして、こんな奇跡をくれた誰かに心から感謝したい。

「ずっとずっと会いたかった、マナカに」

私は左手をのばし、その頬に触れた。
迅もまた私の頬に触れる。

互いの手首にある赤いミサンガはくすんで擦り切れてボロボロだったけれど、光り輝く春の陽光の下にあれば、それでも目の覚めるような赤だった。






<了>





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