幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜

「りり花、起きて!あぶないってば!

どんだけ図太いんだよ?!

ホッとするにもほどがあるだろっ! 」



ぐーぐー寝こけているりり花を必死でゆり起こすけれど、

一度眠ってしまうと、りり花はなかなか起きない。


つうか、自転車乗ってるんだけど…

こんなに爆睡するか?


自転車こぎながら、りり花を支えるのにも限界がある。


はぁ…仕方ない…


背中にもたれるりり花に

かろうじて届くくらいの少し高めの甘い声で呟いた。


「りりちゃん、どこ?」


保育園時代の俺の口癖。


すると、寝こけていたりり花が飛び起きた。


「玲音⁈ 大丈夫⁈ どうしたの?!

………ん??


あれ?!外?!え?自転車? なんで⁈」


自転車の荷台のうえで飛び起きて、

キョロキョロとしているたりり花のおでこをコツンと軽く叩いた。


「こんなところで寝たらあぶないだろ!
家に着くまでしっかりつかまってろって!」


「う、うん」


まだ寝ぼけているのか、目をゴシゴシこすっているりり花に呆れつつ、

また自転車をこぎ始めた。


まだ眠たいのか、りり花は背中にぺったりと寄り掛かっている。


「玲音…」



「ん?」




「ありがとう」



安心して俺に体を委ねているりり花の体温と
優しい声が背中に伝わってくる。




りり花、


俺はりり花の近くにいられるのなら、


なにも望まないよ。



< 105 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop