幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜

観覧車が一番高い場所にさしかかったところで
心を決めた。

ゆっくりと立ち上がり、

夜景に夢中になっているりりちゃんの隣に移動すると、

ぐらりと観覧車が揺れた。



「うわっ!」



「大丈夫だよ、落ち着いて」


驚くりり花を、観覧車の隅に閉じ込めるように窓に両手をついた。


目の前に迫るりり花をじっと見つめる。


「玲音、どうしたの? 」



心臓が飛び出しそうなくらいドキドキする。


りり花の背にしているガラス窓の向こうには
光の海のように夜景が広がっている。


小さく息を吸うと、じっとりり花を見つめた。


「りり花、俺、りり花のこと、好きだよ」



腕のなかのりり花と、じっと見つめ合う。


すると…


りり花はニッコリと笑って、


「うん、知ってるよ!

私も小さい頃から、ずっと玲音のことが大好きだよ!

あ、それよりお菓子、食べる?
たくさん持ってきたのに、全然食べてなかった! 」


そう言って、俺の腕のなかで無邪気に笑いながら
ゴソゴソとお菓子を取り出している。



「りり花、 そうじゃなくて! 」


「あ、チョコじゃなかった? じゃ、これは? 」



そう言って、ポテチを取り出したりり花の手首を掴んだ。




「りり花、その、…俺と、ちゃんと…
その、俺のことを、もっと…ちゃ、ちゃんと…」


「あ、チョコ? もう1つ欲しい? 」


「そうじゃなくて! 」


「はい、あーん! 」


りり花がつまんだチョコをひとつ、
俺のくちのなかにポイッと放り込んだ。


「………ありがと」


「あ、玲音、チョコついてるよ? 」



そう言ってりりちゃんが指先で俺の口の端についたチョコを拭うと、

その指先をペロリと舐めた。



「り、りり花! そ、そんなこと、他の奴にやったら絶対ダメだからね⁈ 」



「うん? でも、なんで? 」


「なんでも! ダメ! 絶対だめ! 」


「玲音以外にこんなこと、しないよ? 」



なんにも気づかずに、無邪気にニコニコと笑っているりりちゃんのほっぺたを

ギュッとつまんだ。



「痛いっ!玲音、急にどうしたの?

痛いってば‼︎  」



涙目になっているりりちゃんを無視して、

両手でムギュッと、りりちゃんのほっぺたを引っ張った。



あと10周乗り続けたって、

りりちゃんとは
絶対に甘いムードになんかならない。


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