chocolate mint
家の方向へと、ハンドルを切ってしまいたい衝動を何度も抑えながら新店舗に到着した途端、鬼のような形相で待ち構えていた有紗さんに有無も言わさず事務所の方へと引っ張り込まれて、さすがの僕もげんなりとしてしまった。 


目の前では、また延々と有紗さんと青木さんがメニューについて話し合っている。


今二人が座っている椅子は『Felitita』から借りてきたものだ。



……事務所すら整っていない、店舗のレイアウトだってまだはっきりと決まっていないのに、何で今からメニューを詰める必要があるんだろう。



まだやらなければいけない事が山のようにあるのに、勝手な振る舞いをし続ける有紗さんへの苛立ちが増す。


それと同時に、青木さんへの不満も徐々に顔を出しはじめていた。


時刻は、もう18時を回ろうとしている。


隙をみて何度か香織ちゃんに電話をかけてみたけど出てもらえず、紫ちゃんからの連絡も未だに無い。


もどかしさと焦りと不安と……色々な感情がごちゃ混ぜになった僕の口から今まで押さえていたはずの感情の欠片が溢れ落ちた。





「……ここに居る意味……あるのかな」




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