chocolate mint

「亨がそんな駆引きとか、試すとか、そういうずるい事をする人だとは思わなかった」


ポツリ、と吐き出すように喋った香織ちゃんの声は、消えそうなくらい弱々しかった。


けれど、さっきの刺々しい声とは違ってどこか腑に落ちたような、気持ちに区切りをつけたような、そんな落ち着いた感情がそのまま出てきたような声を聞いて、心臓がドクンと音を立てる。


さっきまでは、香織ちゃんはコイツにすぐに別れを切り出すだろうって、そう信じて疑って無かったのに……。



……まさか



……コイツを許す気じゃないよな。


急に不安な気持ちが押し寄せてくる。


ここからじゃ、香織ちゃんの表情までは分からない。


二人の間に会話が無くなったのも、不安な気持ちに拍車をかけた。



「……おい」



「……おい、裕介!」


横から伸びてきた手に頭をペシッと叩かれて、我に返った。


「何て顔してんだよ」


「奏一くん……」


「そんなに不安なら、もうお前があの下らない話を終わらせろ。お前さ、本当にただ見守る為だけにここに来たのか?」


「……」


黙っていたら、今度は額にデコピンが飛んできた。

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