chocolate mint

「考える前に行動しろ、ヘタレ」



……こういう所も、奏一くんは紫ちゃんにそっくりだ。


チャンスだと感じたら、それを絶対に逃さない。


チャンスをうかがってばかりで、いつも肝心な所でタイミングを逃してきた僕は、奏一くんのその行動力にずっと憧れていた。



……そうだよ。




僕だって、もう後悔だけはしたくないって……香織ちゃんは誰にも渡したくないって、あんなに思ってたじゃないか。



このままここで黙っていたら、僕は正真正銘、本物のヘタレ野郎になってしまう。




『ーー 陽介さん、アイスコーヒーお願い』



沈黙が続く壁の向こう側に聞こえないように、陽介さんに向かって立ち上がって大きく手を振った。



口の動きだけで注文すると、『ーー了解』と同じように返された。



これを持って、香織ちゃんの所へ行こう。



そう思いながら視線を戻そうとした瞬間、カウンターに立っている陽介さんの向こう側に、信じられない人を見つけて身体が固まった。

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