chocolate mint

でも、その目は顔ほど微笑んでいるようには見えなかった。

……今、香織ちゃんは何を考えてる?


香織ちゃんの目を見て、その感情が読み取れないのは初めてだった。


そんな複雑な目をする理由が分からなくて、本当はまだ怒っているのかも……とか、僕を気持ち悪がっているのかも……とか、不安になって色々と質問したら、どうして『Milkyway』にいたのかと逆に聞かれてしまった。


動揺した僕は、とっさに何も思い浮かばなくて、純くんから聞いたんだと正直に口にしてしまっていた。




***

マンションに着くと、香織ちゃんは「着いちゃったね……」と残念そうに呟いた。


ほっとして気が緩んだのか、ぼんやりとした表情で歩く香織ちゃんの手を引いて、部屋までの道をわざとゆっくりと歩いて行った。


……このまま、この手を離したくないって言ったら、香織ちゃんは何て答えるのかな。



驚いたり、照れたりする様子は想像できない。


きっと、友達に話すくらいの気軽な感じで「うん。いいよ」なんて、あっさり言われて終わりなんだろう。



香織ちゃんはずっと黙って、何か考えこみながら歩いている。


そういう時は、周りに注意が向かなくなるから、何を話しかけても全部スルーされてしまうし、反応しないし、会話が成り立たない事だけは長年の経験で分かっている。

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