キスしたのは最低野郎でした。
突然、フッ… っと目の前が真っ暗になった。あまりにも突然だったのでビックリして声を上げ少し身震いをしてしまった。そこにあったのは、いや、居たのは男の子だった。少し茶色がかった短い髪、こんなに寒いのに何故か半袖を身に纏い見開かれた空色の双眸はこちらを窺っているのかじーっと見つめている。
誰だろこの子。なんかかっこいい。
今考えちゃいけないことを考えた気がする。
取り敢えずどうしよう、と心の中で困惑していると、
「…ごめん」
男の子は私の心情を察したのか立ち上がり、お前も立てよと言うように手を伸ばしてきた。私がその手を掴むとぐいっと引き寄せられて同じように立つ。
先程は顔がドアップ過ぎてよく分からなかったが男の子は意外と身長が高く、というか明らかに私より上だった。恐らく自分より上の学年だろうと観察していると男の子が自己紹介を始めた。
「さっきはごめん、君を困らせちゃったみたいで…」
お、意外と勘いいじゃん。
「別に大丈夫だよ」
私は優しく笑顔を浮かべた。
「良かった… 俺須崎 琉輝(スザキ ルキ)。よろしくな」
「琉輝君ね、よろしくよろしく…
つかぬ事をお聞きしますが、何年生?なの?」
私がさっきから思っていた疑問を尋ねてみた。
私より身長が高いし大人びてる感じするから年上な気がするけどなぁ~。
「ん?俺?俺高2」
彼は2という意味なのかピースなのか、指を2本立ててきた。まず貴方以外に誰がいるんですか。
ツッコミたくなったがなんとか言葉を呑んで、考え直した。
ん?待って?私より1個上なの??うそ3個くらい上かと思ってた。
「ごめんなさい年上とは知らずタメで話してしまいました…」
年上なのだから敬語を使わなければならない。私はすぐさま頭を垂れた。すると彼は慌てた素振りを見せて、
「大丈夫だからな!?そーいうの気にしてねぇし。てかタメで話してよ。なんか変な感じすっからさ」
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